今年の代表的な曲。一年にひとつぐらい、歌に疎い人でも、
なんとなくサビをくちずさんでしまう歌が出てくる。
最初は聴いてもふうん、ぐらいだった。そのあと徐々に好きになった。
歌も上手いし、物語る歌詞がだんだん人を引き込む。
べつに君を求めてないけど 横にいられると思い出す
君のドルチェ&ガッバーナの香水のせいだよ
サビのこの2行が、まず思い出す部分。
ドルチェ&ガッバーナ(私もあまり知らないが、発音するのが嬉しくて、歌っている)というのは、なんとなく響きがカッコいい。全国で、この高いブランドを買ったこともない人が、一斉にここの部分を歌い、ニヤニヤする。
夜中にいきなりさ いつ空いてるのってLINE
君とはもう3年くらい会ってないのにどうしたの?
LINEが歌詞に出るのはまだ珍しいと思います。ここはあるサイトで、LINEの誤配信ではと解釈していたが、私はそうでなく、やはり彼女が少し会いたくなったからだと解釈。そのあとふたりは会ってます。
あの頃 僕達はさ なんでもできる気がしてた 2人で海に行っては たくさん写真撮ったね
ラブソングの定番的シチュエーション。海の写真がいまは目に痛い想い出。
でも見てよ今の僕を クズになった僕を 人を傷つけてまた泣かせても 何も感じ取れなくてさ
どうも荒れている様子が、なんとなく伝わってくる。やつあたりばかり。ここの部分が、聞けば聞くほどよくなってくる。傷つけて、自分も傷ついているのが伝わってくる。
今更君に会ってさ 僕は何を言ったらいい? 「可愛くなったね」口先でしか言えないよ
どうしたの いきなりさ タバコなんかくわえだして
悲しくないよ悲しくないよ 君が変わっただけだから
彼女も変わっていた。タバコを吸い始めた。ひと昔前にはまだあどけなかった彼女。
悲しくないよと言う言葉が胸の痛さを伝える。ここで状況が判明する。別れてから、その時間は二人を悪く変えていた。でもどうすることもできない。
でも見てよ今の僕を 空っぽの僕を 人に嘘ついて軽蔑されて 涙ひとつもでなくてさ
だから好きという気持ちとは違うかもしれないけど、寂しくて仕方がない。
別に君をまた好きになることなんてありえないけど 君のドルチェ&ガッバーナの香水が思い出させる
物事が終わったあとのセキ漠感。覆水盆に戻らず。やっぱり会ってもどうしようもないんだけど、なんとなく離れがたく、昔を思い出しているふたり。
何もなくても 楽しかった頃に 戻りたいとかは思わないけど 君の目を見ると思う
本当は戻りたい。
別に君を求めてないけど 横にいられると思い出す 君のドルチェ&ガッバーナの その香水のせいだよ
匂いというのがまた、独特に思い出を蘇らせる。
香水 / 瑛人 (Official Music Video)
別に君をまた好きになるくらい君は素敵な人だよ でもまた同じことの繰り返しって 僕がフラれるんだ
だからもう何か言葉を言いそうになるけど、まだためらってる。でもフラれるかもしれない。まだためらっている。
この歌の後、きっと彼は彼女にまた告白をするのだろうか。それは分からない。
ふたりは新しく付き合い始め、
主人公はやる気に満ちて、新しい日々を歩み始めているだろうか。
それともやはりなにも言えず、ふたりは言いたいことを残したまま、その日は別れただろうか。
主人公の
すこしあきらめた、
力の抜けた感じが、何もなかったことを告げている。
彼らはドルチェ&ガッバーナなど普段買える人ではなく、
昔クリスマスに奮発して買ってあげたか、
彼女が無理して買ってつけていたか、何かだ。
ふたりとも、どっちも庶民だろう。