歌詞解説のLyricsonic リリックソニック

たまーに更新。和訳、ライターの仕事募集中です。

Jackson Brown "The Dreamer" (2021) 最新アルバムから

2021年のアルバムの歌詞を読んでいると面白いので数曲紹介します。

 

まずは前回中途半端だった、「丘を下って海へDownhill from Everywhere」の歌詞の続き。

 

Do you think of the ocean as yours? きみは海が自分のものだと思ってるわけ?

Because you need the ocean to breath なぜならきみは呼吸するのに海が必要だから

Every second breath you take Is coming from the sea きみが呼吸するたびその酸素は海から来ていることを思い出して

We don't really know because we don't really see ぼくらは本当の意味では分かってない

なぜなら自分の目で見たわけじゃないからね

 

この歌詞に書かれていることは本当で、人が吸う酸素のほとんどが、海のプランクトンから出されている。(膨大な藻類がいる。)そしていま、海に入るマイクロプラスチックが、この藻類の呼吸を妨げていることが明らかになっているのだ。海は偉大。

小林克哉氏によれば、彼は二つ海保全団体に入っている。ひとつが魚も食べてはいけない団体、もうひとつが魚は一応食べても良い団体。(笑)

さて表題にした「The Dreamer夢見る人」。

トランプ時代に書かれたらしい、国境を越えた移民の歌だ。

 

Just the child when she crossed the border 彼女が国境を越えたときまだ子どもだった

To reunite with her father 先に行った父と合流するために

Who had traveled north to support her 父は北から国境付近に来ていて彼女を待っていた

So many years before それはもう何年も前のこと

She left half her family behind her 彼女は家族の半分を置いてきた

And with a crucifix to remind her 家族を思い出すため十字架を抱いてきた

She pledged her future to this land 彼女は将来を するためこの国に来た

And does the best that she can do そしてそれからベストを尽くしてきた

 

いまバイデン政権でも、国境に越境移民が押し寄せている。バイデンは国に入れている。

いまアメリカは人手不足。コロナがほぼ終わり、財政支出も増えて、一気に経済がスタートしている。 

 

Today she got the order 今日彼女は命令を受けた

They're taking steps to deport her 役所は彼女を本国へ戻す手続きを進めている

To send her back over the border 国境を越えて

And  tear her away from the life she has made 彼女を築きあげた暮らしから引き裂き

We don't see half the people around us ぼくらは周りで目にしなくても

But we imagine enemies who surround us 取り巻いている敵を想像できる

And the walls that we've built between us ぼくらが築いたいくつもの壁は

Keep us prisoners of our fears ぼくら自身を怖れの囚われ人にする

 

このくだりはトランプ時代に、移民が強制送還されていたことを歌っている。

彼女が築いた生活すべてを捨てさせて

築かれた壁が、かえって国内でも疑心暗議で人々をバラバラにしていったことを歌っている。

いまその時代は終わっているけれども、またいつ戻ってくるとも限らない。そういう危機感を持ちつつ、彼の最新アルバムを聴こうと思う。

 

Eagles fly on columns of the wind 鷲が気流の上を舞い

Fish swim the currents of the sea 魚が海流の間を泳ぎ

People cross oceans and deserts, and rivers 人が
大洋、砂漠、そして川を越えてやってくる

Carrying nothing more than 荷物は何もない

the dream of what life could be 人生のこれからの可能性という
夢以外は何も持たずに

(「夢見る人」)

 

もう一曲歌詞が発表されている「A little soon to say」は、こちらは海岸から渡ってくる移民の歌のようだ。彼らが光を、道をみつけられるようにと歌っている。


www.youtube.com 昔の名曲「空っぽでも走り続ける」。目標を見失って、それでも走り続けている、という歌です。

 

Downhill From Everywhere

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Running on Empty (Remastered)

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