歌詞解説のLyricsonic リリックソニック

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イマジンへの道(1)The Beatles "A Day In The Life" (1967)

ビートルズの大傑作といわれる「サージェントペパーズ」の最後を飾る曲。

ジョンが当時何を考えていたか、すこし分かる。

I read the news today, oh boy
今朝新聞で、ニュースを読んだんだ、ジュリアン
About a lucky man who made the grade
昇進を手にした、幸運な男の記事
And though the news was rather sad
それはどちらかといえば悲しいニュースだったのに
Well I just had to laugh
僕は笑わずにはいられなかった
I saw the photograph
その報道写真を見たら
He blew his mind out in a car
男は運転中に自分の胸を破裂させちゃった(注1)
He didn’t notice that the lights had changed
信号が赤になっていても 気づかなかったらしい
A crowd of people stood and stared
野次馬が大勢集まってきて中を見ていた
They’d seen his face before
みんな運転者の顔に見覚えはあった
Nobody was really sure
If he was from the House of Lords
でも誰もそれが 上院議員のあの人だと
すぐには信じられなかった

I saw a film today, oh boy
今日、映画も観たんだ、ジュリアン
The English army had just won the war
英国の軍がちょうど戦争に勝った場面で
A crowd of people turned away
大勢の観客が席を立って往ってしまった
But I just had to look
僕は見ないと仕方なかった
Having read the book
そこは台本で読んだことがある場面で(注2)
I’d love to turn you on
僕は君を目覚めさせたい

 


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Woke up, fell out of bed,
目を覚まし ベッドから落っこちた
Dragged a comb across my head
急いで髪をとかし
Found my way downstairs and drank a cup,
いつものように階段を駆け降りて紅茶を一杯
And looking up I noticed I was late
時計を見ると遅刻しそうな事に気づき
Found my coat and grabbed my hat
コートを探し帽子を掴み
Made the bus in seconds flat
バスに飛び乗って
Found my way upstairs and had a smoke,
いつもどおり会社の階段を駆け上がり一服
Somebody spoke and I went into a dream
同僚が話しかけてきたけど僕はまた夢の中に落ちた

I read the news today oh boy
今日あるニュースを読んだんだ、ジュリアン
Four thousand holes in Blackburn, Lancashire
ランカシャー州ブラックバーンの道に4000個の穴があるという記事(注3)
And though the holes were rather small
その穴はどちらかといえば小さかった
They had to count them all
役人たちは全部数えないといけなかった
Now they know how many holes it takes to fill the Albert Hall
アルバートホールをいっぱいにするには
どれだけのホールがあればいいかが 彼らにはそれでわかった
I’d love to turn you on
僕は君を目覚めさせたい

 

(注1:これはジョンの知人の実際の事故をモデルにしている。 注2:これはジョンが出演した失敗作「ジョン・レノンの僕の戦争」。 注3:これも本当にあったこと。ウィキペディアを参照。)

 

最後の行、目覚めさせたい とはどういう意味だろう?

麻薬でハイになるという意味にも取れる。

「人生の中のある一日」、なんてことのない日常の退屈そうな話。ジョンは新聞を読み、映画を見、でも退屈していた。(知人の議員の死に笑ったなんて、ちょっとやさぐれていたようだ。)横には息子ジュリアンがいたようだ。

もうイギリスのわかりきった暮らしなんて、退屈で仕方がない。とくに上院議員とか、有名になって増えたしがらみに、うんざりしていたみたいだ。

でもジョンは、そういうものを超えた、なにやら素晴らしいものを、知っているようでもある。それが、最後の行の、直訳だと、「スイッチを入れたい、目覚めさせたい」。これは、何を言ってるんだろう?

こっから、勝手に論考を開始!名づけて「イマジンへの道」!

(1)

ジョージ・ハリスンの奥さんがインドの瞑想にはまったことから、ジョージはインドにのめりこみ、シタールを弾き始めます。やがてほかのメンバーもみな、瞑想セミナーなどにミック・ジャガーなどと出始めます。

ジョンはひとつ前のアルバム「リヴォルバー」で、神秘的な曲をひとつ書いています。
(「明日のことは分からない Tomorrow never knows」)
ヒッピーやサイケデリックのブームと共鳴して、チベット思想書からアイデアを得たもの。死についても書いてある。
’66年末ヨーコと彼女の個展で運命的な出会いをしたジョンは、彼女からもいろんな影響を受けます。
ヨーコは松尾芭蕉なんかを通じて、東洋的な「自然との共生」のような世界を教えたらしい。ヨーコはジョンに取り、新しい世界を教える知恵の泉のような人だったようです。

そして1967年初頭、上記の歌詞の曲、「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」を録音。

この’67年は、「サマー・オブ・ラブ」といわれるヒッピー大爆発の年で、西海岸で花を身にまとった若者が野外で寝そべりライブを聴く年でした。そんな中、8月末にビートルズの有名マネージャーが急死します。

家族がおらず、家族のように彼を慕っていたジョンは悲しみに沈み、いっそう思想的になってゆきます。1968年2月から2ヶ月、メンバー四人は実際にインドに飛び、ある有名な師匠のもとで瞑想の修行を始めます。

ジョンはよく修行していたそうです。

インドやヨーコのなかに彼が探していたもの、そしてそこから掴んだものは何なのか。

それが一過性の、サイケデリックなブームや一時の恋だったのか、それともずっと実質的なものだったかが重要です。彼のこの後の作品のすばらしさを見れば・・・!。

寂しがり屋の西洋人とインド、そして東洋の一女性との出会い。

「イマジン」も、実はこのあたりから、出てきていると思うのです。

「ヘルプ!」や「ノーウェアマン」を歌っていた頃の、不安定なジョンはもういなくて、この偶然の化学反応から、彼はなにかしっかりしたものを得、何かを掴んだように見えます。

ニューヨークのある展覧会で出会った運命の人、自分とよく似た感覚のアジア人女性、ヨーコは、彼の安定の大きな一要素であり、その後の彼の作品の、大きな部分を占めてゆくようになるのです。

(続く)

 

(目覚めて階段を~の部分はポールが作詞しました。)

 

ア・デイ・イン・ザ・ライフ

ア・デイ・イン・ザ・ライフ

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