歌詞解説のLyricsonic リリックソニック

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イマジンへの道(2)The Beatles "Across the Univers" (1970)

 

 

イマジンというのは、東京オリンピック開会式でも歌われた素晴らしい歌ですから、その成立の謎を追いましょう。・・・・・・・

 

西洋にいると、文明と自然がはっきり分けられているので、西洋人がアジアに来ると、なんとなく人と自然が共生しているように見えるらしく、心がやすらぐらしいのです。テムズ川沿いと、京都の鴨川を比べると分かります。 

ヨーコがジョンと出会ったきっかけになった展覧会の作品、
脚立がありそれを登るとぶらさがった虫眼鏡を使って天井にある小さな字を見る。
そこには、小さく「yes」と書かれていた。

これは、とても東洋的なニュアンスだと思う。
小さな蛙が主人公の芭蕉の句と似ている?!
なんでもないこと、何気ないことも、yesと肯定してくれる。
昔の(今も?)日本やアジア。
西欧の上昇志向が嫌いなジョンには、(プレスリーに会ったとき、相手がお世辞で
きみらのレコード全部を持ってると言ったら、僕はあなたのは一枚も持ってないと言った。)
ひとつの道の啓示だった。

最後のアルバム"Let it Be"から。

 

Words are flowing out like endless rain into a paper cup 
言葉は紙コップをたたいてあふれ出す雨粒のように溢れてきて
They slither wildly as they slip away across the universe
スルスル滑り始め宇宙をわたって遠ざかってゆく
Pools of sorrow waves of joy are drifting through my opened mind
心配事のプール 喜びの波が 僕の開かれた心の上を漂い
Possessing and caressing me
僕にとりついたり愛撫していったりする
Jai guru deva om わが師よ 神と霊
Nothing’s gonna change my world  何も僕の世界を変えられない

 

紙コップを雨滴が叩き音を立てるイメージ。
からっぽの安いコップがレノンで、雨が世界、自然だ。雨が振り込んで、からから印象的な音を立て続ける。

 

Images of broken light which dance before me like a million eyes
屈折した光のイメージが 僕の前で舞う 無数の眼のように
They call me on and on across the universe 宇宙を通って 何度も呼ぶ
Thoughts meander like a restless wind 思考が 郵便箱の中で 
落ち着きのない風のように くるくる回る
Inside a letter box they あて先のない手紙のように  
Tumble blindly as they make their way やがてどこかへ飛んでゆく
Across the universe 宇宙の彼方へ

 

Sounds of laughter shades of life are ringing 笑う声、道行く人の気配が聞こえてくる
Through my open ears inciting and inviting me 耳は開き 音が僕を興奮させ招いている
Limitless undying love which shines around me like a million suns 
無限の 死なない愛が 僕の周りに輝いている 無数の太陽となって
It calls me on and on, across the universe それは何度も僕を呼ぶ 宇宙の彼方から

 

Jai guru deva om わが師 神 霊
Nothing’s gonna change my world 何も僕の世界は変えられない

Nothing’s gonna change my world 何も僕の世界は変えられない

 

麻薬の影響下の夢にも受け取れますが、この歌には水平な世界が描かれている。
上と下がない。
何も僕の世界を変えない、というのは、心の平和が得られたということ。変えようと働きかけてくる力がここにはない、ということ。
両親もおらず礼儀も知らない自分でもありのままでよく、安定、安心できる。
虎が虎として尊重されている世界。

自然との一体化の感覚。宇宙までも含んだ壮大な自然で、インド的、ヒンズー的、仏教的な世界観。"A Day In The Life" で感じられたイギリスの文明社会への倦怠感への反動で、水を得た魚のように、ジョンが生き生きとしているようです。

親に育てられずやんちゃな野生児だった彼が、命を取り戻したよう。

そして自然との共生という同じ流れは温暖化の今、SDGsという新しい名前で復活しているのです。

(ちょっとヒッピー文化はオウム真理教にも似ています。難しいところで、経済と世界の環境は対立しているわけですので、オウムに大勢エリート出身者もいた理由が、分かってきます。慶応大の有能な医師もいました。彼らが当時すでに温暖化のことも意識していたのだとしたら?!オウムが弁当屋を出していたの見たことがあります。あんなテロをおこさず静かにしていれば、いまごろ大勢力になったのかも?とにかく犠牲者の方々と、刑死した人たちのご冥福を祈ります。)

 

(続く)


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