歌詞解説のLyricsonic リリックソニック

たまーに更新。和訳、ライターの仕事募集中です。

Jackson Brown "My Cleveland Heart" (2021) の歌詞和訳

いまアメリカが超高温になっていて、アレアレって感じだけど、このブログの読者なら、あわてないね!戦いは始まったばかりだ!

引き続きジャクソン・ブラウンの新譜から。シングルカット、My Cleveland Heart。


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クリーブランドとは、五大湖沿いの工業都市の中で、
唯一の「民主党基盤」の町なのである。
演劇など文化が盛んで、

ロックンロールの誕生がこの町のFM局の、ある伝説のDJの思い付きから
始まった味わい深い逸話は、また別の機会に書こう。
だからこの町に、「ロックの殿堂」があるのだ。
(ブラウンも入っている。日本だったら100%東京にあるだろうに。)
そういう町の、「どんな困難にも負けない鋼鉄のハート」を、移植されたんだ、僕は、という歌だ。

 

But I expect the real changes to start 僕は真の変化が起きることを期待している

When I finally  get my Cleveland Heart 僕がついに自分用のクリーブランド・ハート(心臓)を装着したとき

They're made to take a bashing そいつはバッシングを受ける運命

And never lose their passion でもけっして情熱を失わない

 

They never break, they don't even beat そいつはけっして壊れない 脈さえ打たない

And they don't ache, they just plug in and shine 痛むことも無い プラグを差込むと輝きだす(ギターのように)

 

Don't make mistakes and they don't know defeat そいつはミスもしないし負けを知らない

Like my heart makes,  like this broken heart of mine 僕自身のハートは失敗するしよく挫けるけれど この壊れかけのナイーブな僕の心臓

 

(実は、実際に、クリーブランドアメリカではじめて

人工心臓の移植が行われたところだとも聞いた。)

ジャクソン自身は迷うし悩む、そんな人だったけれど、

ロックの町で、強い心をもらったと言いたいのか。

彼はまだまだ戦う気持ちで、

これからも時代に挑んでゆく。

 


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美しい町クリーブランド

 

My Cleveland Heart

My Cleveland Heart

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yculture.hatenablog.com

Jackson Brown "The Dreamer" (2021) 最新アルバムから

2021年のアルバムの歌詞を読んでいると面白いので数曲紹介します。

 

まずは前回中途半端だった、「丘を下って海へDownhill from Everywhere」の歌詞の続き。

 

Do you think of the ocean as yours? きみは海が自分のものだと思ってるわけ?

Because you need the ocean to breath なぜならきみは呼吸するのに海が必要だから

Every second breath you take Is coming from the sea きみが呼吸するたびその酸素は海から来ていることを思い出して

We don't really know because we don't really see ぼくらは本当の意味では分かってない

なぜなら自分の目で見たわけじゃないからね

 

この歌詞に書かれていることは本当で、人が吸う酸素のほとんどが、海のプランクトンから出されている。(膨大な藻類がいる。)そしていま、海に入るマイクロプラスチックが、この藻類の呼吸を妨げていることが明らかになっているのだ。海は偉大。

小林克哉氏によれば、彼は二つ海保全団体に入っている。ひとつが魚も食べてはいけない団体、もうひとつが魚は一応食べても良い団体。(笑)

さて表題にした「The Dreamer夢見る人」。

トランプ時代に書かれたらしい、国境を越えた移民の歌だ。

 

Just the child when she crossed the border 彼女が国境を越えたときまだ子どもだった

To reunite with her father 先に行った父と合流するために

Who had traveled north to support her 父は北から国境付近に来ていて彼女を待っていた

So many years before それはもう何年も前のこと

She left half her family behind her 彼女は家族の半分を置いてきた

And with a crucifix to remind her 家族を思い出すため十字架を抱いてきた

She pledged her future to this land 彼女は将来を するためこの国に来た

And does the best that she can do そしてそれからベストを尽くしてきた

 

いまバイデン政権でも、国境に越境移民が押し寄せている。バイデンは国に入れている。

いまアメリカは人手不足。コロナがほぼ終わり、財政支出も増えて、一気に経済がスタートしている。 

 

Today she got the order 今日彼女は命令を受けた

They're taking steps to deport her 役所は彼女を本国へ戻す手続きを進めている

To send her back over the border 国境を越えて

And  tear her away from the life she has made 彼女を築きあげた暮らしから引き裂き

We don't see half the people around us ぼくらは周りで目にしなくても

But we imagine enemies who surround us 取り巻いている敵を想像できる

And the walls that we've built between us ぼくらが築いたいくつもの壁は

Keep us prisoners of our fears ぼくら自身を怖れの囚われ人にする

 

このくだりはトランプ時代に、移民が強制送還されていたことを歌っている。

彼女が築いた生活すべてを捨てさせて

築かれた壁が、かえって国内でも疑心暗議で人々をバラバラにしていったことを歌っている。

いまその時代は終わっているけれども、またいつ戻ってくるとも限らない。そういう危機感を持ちつつ、彼の最新アルバムを聴こうと思う。

 

Eagles fly on columns of the wind 鷲が気流の上を舞い

Fish swim the currents of the sea 魚が海流の間を泳ぎ

People cross oceans and deserts, and rivers 人が
大洋、砂漠、そして川を越えてやってくる

Carrying nothing more than 荷物は何もない

the dream of what life could be 人生のこれからの可能性という
夢以外は何も持たずに

(「夢見る人」)

 

もう一曲歌詞が発表されている「A little soon to say」は、こちらは海岸から渡ってくる移民の歌のようだ。彼らが光を、道をみつけられるようにと歌っている。


www.youtube.com 昔の名曲「空っぽでも走り続ける」。目標を見失って、それでも走り続けている、という歌です。

 

Downhill From Everywhere

Downhill From Everywhere

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Running on Empty (Remastered)

Running on Empty (Remastered)

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Howard Jones "New Song" (1983) ビリーアイリッシュ擁護

一人は勇気がいるけれど、自由も手に入る。

いま宅録といって、自宅でひとりでなにもかも録音するのがむしろ主流になっているけれども、そのはしりが彼だったのではないか。

全部一人で録音して大ヒットさせた。


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I 've been waiting for so long もうずっと長い間待っていた

To come here now and sing this song ここへきて一緒に歌おう

Don't be fooled by what you see 眼にするものにだまされるな

Don't be fooled by what you hear 聞いたものにごまかされるな

This is the song for all my friends これはボクのすべての仲間への歌

They take the challenge to their hearts やつらは日々挑戦しているんだ

Challenging preconcieved ideas 先入観、植えつけられてきた考え方に

Saying good bye to long standing fears 長くそびえてきた恐怖の壁にサヨナラさ

 

Don't crack up  Bend your Brain くじけないで 頭をやわらかく

See boyh sides   Throw off your mental chain 両側を良く見て 心の鎖を投げ捨てよう

 スティービー・ワンダーも、全部ひとりで演奏したと聞いたことがあります。

電子音が新鮮で、親しみやすいポップソング。

作品と人の印象が、壁の落書きで有名になった、キース・ヘリングに似ている。

いま落書きといえばバンクシー、音楽はビリー・アイリッシュ


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ビリーさんがいま炎上していて、謝罪のニュースが流れていた。14歳の時のことだし・・・。 

彼女の可愛らしい素顔はこの動画で・・・


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New Song

New Song

  • ハワード・ジョーンズ
  • ポップ
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ジャクソン・ブラウン礼賛

ジャクソン・ブラウンはものすごく偉い人だった。

 

I can't keep up  what's been going on

僕は最近起こっていることにはもうついていけない

("Lawyers in Love")

 

坂本龍一が日本でノーニュークスNoNukesという反原発ライブイヴェントをやっているけれど、


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元はアメリカで、1979年にブラウンが中心で開いたものだ。

ブラウンは3・11も深く悲しみ、わざわざ2015年3月11日に、日本でライブしに来た。

そういえば昨日、福井で40年を超えた原発が動き始めたばかり。日本はこの先原発が増える。何とかしたいものだ。家庭や会社がソーラーを買えば、問題は軽くなるのだ。

彼はそのほかにも数々の環境運動にたずさわっている。

最新アルバム"Downhill from Everywhere"のタイトル曲の直接的な意味は、丘の上や道上に落ちていたプラゴミが、どこからでも下って行って最後海に入って沈殿してしまう、ということが言いたい環境ソングであった!(私が前回書いたような、地形のイメージのような多義的な意味もあると思うけれど。)

 

高校からも 下り下って海へ

教会からもスタジアムからも海へ

赤ちゃんの部屋からも海へ 

(「丘を下ってどこからでも海へ」)

 

彼は筋金入りの、環境活動家なのだ。

雑誌に記事も多く出ていて、尊敬されている方だ。

 

有名な「大洪水の前に」という曲。


www.youtube.com (79年 NONUKESでのライブ映像)

 

歌詞の中の洪水は、よく考えるとまずは学生運動の波が引いた後、みんな

商業経済という大波に飲み込まれていったことを歌っているのだと思います・・・。

(だからロウヤーズインラブーーー複数形、つまり自分と仲間達ーーーで弁護士の

ように融通のきかない真面目な自分が溺れそうになっているビデオを撮ったわけ。)

で、いまなぜか日本も世界も、洪水だらけになっているわけ。大陸の西が乾いて、東側は台風なのだ! 環境破壊による世界の洪水、というイメージも、やはり重ねられているようだ。

インタビューがこちら。


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 最新シングル。

My Cleveland Heart

My Cleveland Heart

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Jackson Brown と水の歌 

とある敬愛する大先輩のアドバイス。「水の歌ならジャクソン・ブラウンだよ。」

80年代の大ヒット曲、「ロウヤーズインラブ(恋する法律家)」なら覚えているけど、

あまり知らない人だった。

ファーストアルバムから一曲ずつ歌詞を読んでゆくと、面白い。

おんなじモチーフがイマジネーションの中で繰り返し出てくる作家がいるのだが、

彼はまさにそれ。水と炎の詩人なのだ。

 

「A Child in These Hills この丘の子ども」

 

I am a child in these hills 僕はここらの丘の子ども

I am away I am alone 僕は仲間から離れ 独りでいる

I am a child in these hills 僕はここらの丘で暮らす子ども

And looking for water そして水を探している

And looking for life 命を探している

 

地形のモチーフもいつもある。高い丘から低いほうへ水が流れるというもの。

自然さ、ナチュラルさってこと?彼のメロディーも、そんなふうだ。

 

JBには、海に帰ろう、みたいな思想があるみたいだ。「ロックミーオンザウォーター」という歌もそうだし、紹介する「恋する法律家」の動画も、なぜか洪水?!


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「大洪水の前に」という歌は、聖書っぽい場面設定を借りて、環境の運動をしていた人のことを歌った歌(これから日本にも洪水があるかもしれないので少し不謹慎ですが、くれぐれも犠牲者が出ないように祈ります!)。ノアの箱舟の話のモチーフと、彼の願望が入っている。彼は実は洪水が来てほしい?!それが古い社会を洗い流して、そこに新しい世界を築きたいのだ。69年世代がみんな持っていたイメージだろう。

Some of them were angry 彼らのなかには怒っているものもいた

At the way the earth was abused 地球の浪費のされ方について

By the men who learned how to forge her beauty into power 地球の美を力に変えるすべを知ってしまった人間たちの浪費さ

And they struggled to protect her from them やつらは地球をそいつらから守ろうとした

Only to be confused そしてかえって混乱してしまった

And in attempts to understand a thing so simple and so huge とても簡単でしかし大きなことを学ぼうとして

Believed that they were meant to live after the deluge 彼らは信じた 大洪水の後も生きるように自分たちは生まれてきたのだと

 

 

2021年最新盤は、「どこからでも海へ下る Downhill from Everywhere」という歌が、アルバムのタイトルにもなっている。つまり、彼の本質は、なにも変わってないみたい。

ふと思ったけれど、この「高いほうから低さへ流れる」っていう簡単な思想は、実は案外「深い」ものなんじゃないかと。流されてゆくことにも、一面良さがある?微妙だね。抵抗しつづけるだけじゃなく、流されながら、態勢を整えて行く。ジャクソンの長いキャリアのようだ。ちょっと考えてみて。 

 

Now let the music keep our spirits high さあ音楽で ぼくらの精神を高く保とう

And let the buildings keep our children dry 建物によって子どもたちを水から守ろう

Let creation reveal its secrets by and by 創造者にすこしずつその秘密を明らかにさせよう

By and by...

When the light that's lost within us reaches the sky 光が空にとどくときに

(「大洪水の前に」)


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Lawyers In Love

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Before the Deluge

Before the Deluge

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STING "Brand New Day " (1999) アマゾンでの戦い

ヒットを連発していたスティングは、1987年から、

人に誘われてアマゾン川の先住民と森林資源を守る運動を始めた。

今も続いていて、(Rainforest Fund 参照)

昨年のアマゾンの大火災について、

大統領ボルソナロを非難する声明を発表している。

スティング、アマゾン森林火災に関する政府の対応に激怒「全人類が報いを受けることになる」 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)


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Turn the clock to zero sister 時計をゼロに戻そう

You’ll never know how much I missed her 僕がどれだけ彼女の不在を悔やんでいるか知らないだろう

I’m starting up a brand new day でも新しい日々を始めるのさ

Turn the clock to zero boss 時計をゼロにして

The rivers wide we’ll swim across 大河も泳いで渡ろう

We’re starting up a brand new day 新しい日々を始める

 

最近ベナンの歌手とのコラボ作品、「ニューヨークのアフリカ人」を発表したばかり。(そのうち紹介します。)

2016年のオリジナルアルバム「57th & 9th」でも、弱い立場のマイノリティーへの目線が感じられる曲が多い。

(ザ・ポリス時代に「高校教師」という歌がありますが、もともと彼は小学校の国語の先生でした。)


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ところで、2011年のレポートで、

温暖化が激化すると、世界一雨の多いアマゾン川流域が乾燥し始め、

やがては草原になってしまうという予想がある。

昨年は実際に、パンタナールという湿っているはずの湿原が乾燥し、

火事で広い面積が燃える事件が起きたのだ。

私たち一人一人が、いよいよ、小さなことでも、

温暖化と戦っていくしかないと思いませんか。

自転車、省エネ、エトセトラ。新しい日々へ。

 

You’re the crop to my rotation きみは言うなれば僕の輪作の収穫
You’re the sum of my equation 僕の方程式の解
I’m the answer to your question 僕がきみの問いの答え
If you follow my suggestion 僕の忠告にならえば
We can turn this ship around 船の向きを変えられる
We’ll go up instead of down 下向きじゃなく上に向かって進もう
Stand up, all you lovers in the world 立ち上がれ、世界の恋人たち
Stand up and be counted, every boy and every girl 立ち上がり意見の主となれ 少年少女よ
Stand up, all you lovers in the world 立ち上がろう恋人よ
We’re starting up a brand new day 新しい日々を始めるために


Brand New Day

Brand New Day

  • スティング
  • ロック
  • ¥255
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Enya "Orinoco Flow" (1988)

水の循環について 考えている。水は世界をめぐるから。
 
Let me sail, let me sail 漕ぎ出そう 漕ぎ出そう
Let the Orinoco flow オリノコ川
Let me reach, let me beach いつか着くわ いつか浜辺へ
On the shores of Tripoli トリポリの浜に
Let me sail, let me sail 帆船で行くわ 帆の風で 
Let me crash upon your shore あなたの岸辺に舳先が当たる
Let me reach, let me beach たどり着くまで 浜辺まで
Far beyond the Yellow Sea 黄色い海をはるか越えて
 
De-da, da-da-de 
 
Sail away, sail away, sail away 
 
 
From Bissau to Palau ビサウからパラオ
In the shade of Avalon アヴァロンの木陰
From Fiji to Tiree フィジーからタイリー
And the Isles of Ebony そしてエボニーの島々
 
From Peru to Cebu ペルーからセブ
Feel the power of Babylon バビロンの力を感じて
From Bali to Cali バリからカリ
Far beneath the Coral Sea 珊瑚の海よりも深みへ
 
De-da, da-da-de 
Turn it up, turn it up, turn it up, up, adieu  
 
Sail away, sail away, sail away 
 
From the north to the south 北へも南へも
Ebudæ unto Khartoum イブーディーもハルツーム
From the deep Sea of Clouds 深い雲の海から
To the Island of the Moon ムーンの島へ
 
Carry me on the waves 波の上で私を運んで
To the lands I've never been まだ訪れたことのない土地へ 
Carry me on the waves 波の上で
To the lands I've never seen 見たことのない大地へ
 
We can sail, we can sail 帆船で行こう 風をはらみ
With the Orinoco flow オリノコ川の流れよ
We can sail, we can sail 風に乗って行こう
Sail away, sail away, sail away 風に乗って 風に乗って
We can steer, we can near 舵をまわして近づいてゆく
With Rob Dickins at the wheel ロブ・ディキンスが舵を取る 
We can sigh, say goodbye ため息ひとつ 別れの言葉
Ross and his dependency ロスと船員たちに
 

 

Enya - Watermark

Enya - Watermark

  • Hal Leonard Publishing Corporation
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意外な地名が目につく。トリポリリビアの首都)、ハルツームスーダンの首都)。
オリノコ川とはブラジルの北、ベネズエラ国境付近から、大西洋に注ぐ大きな川。
川の水が海に入りどこへ行くかを空想する不思議な歌。
雄大な水の流れ。
風は波を作り水を運ぶ。
それはやがて蒸発し空へ上がって行き
そしていつかまた雨となって、
地表へと降り注ぐのだ。
 

  ロブ・ディキンズとは、エンヤが属していたレコード会社の社長。

VERY BEST OF ENYA

VERY BEST OF ENYA

  • アーティスト:ENYA
  • Wea
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Orinoco Flow

Orinoco Flow

  • エンヤ
  • ポップ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes